カボチャの馬車は、途中下車不可!?

私たち広告代理店の仕事は、広告の計画立案や制作、媒体の確保から市場調査まで多岐に渡る。

メディアミックスが基本の現代は、一つの媒体だけに絞るクライアントは少数派で。
テレビ+雑誌、雑誌+ウェブ、なんてどんどん出稿媒体を増やしてくるから、もちろん手間も時間も、2倍3倍になっていく。

中でも営業職は、クライアントの要望をくみ取って、最も適した媒体や販促物を選び、スタッフの選定、スケジュールと予算の作成、管理まで、マルチに対応を求められる、いわば企画の司令塔だ。
当然、忙しさは半端ない。

マスコミと関わることも多いから、一見華やかそうに見えるけど、実際は全然そんなことないのよね。

だって、商品が売れれば、儲かるのはクライアントで。
注目を浴びるのは、クリエイターで。
私たちは、ただの黒子。泥臭い縁の下の力持ちでしかない。

クライアントに頭を下げ、クリエイターをなだめすかしておだてて……
板挟みになって胃が痛くなると、いつも考えるの。

なんでこんな思いしてまで、この仕事してるんだろうって。

それでも……
狙い通りに商品が売れて、クライアントが喜んでくれると、全部報われたなって思っちゃう。
私もどっぷり、「代理店マン」ってヤツなんだろうな。


今から動くとなると、秋以降かぁ。
スケジュール帳をペラっとめくりながら、考える。

「柴田さん、イベントものってご興味ありませんか?」

仲のいい編集さんが教えてくれた企画を思い出して、聞いてみた。
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