カボチャの馬車は、途中下車不可!?
気づいたのは、動かしがたい事実だった。
日本語があまりに完璧だから時々忘れそうになるけど、彼は日本人じゃない。
母国語である英語の方が、もちろん話しやすいわよね。英語環境の方が、言いたいことも100%伝わるし、そりゃ居心地いいに決まってる。
私と、一緒にいるときは?
楽しい? 本当に? 私は、どうやってそれを確かめればいいの?
モヤモヤとした何かが、身体の中に膨張していく。
私を乗っ取ろうとするみたいに——
それ以上考えたくなくて、ギュって力を込めてかばんを握りしめると、
逃げるようにその場から離れた。
◇◇◇◇
「おぉおっ! よっ! いい飲みっぷりだねぇ」
「ありがとうございます」
「ちょ、ちょっと……真杉さん、大丈夫? あんまり飛ばしすぎない方がいいんじゃないの?」
「日下くん、こういう席で無粋なことは言いっこなし! さ、真杉ちゃんもう一杯!」
日下課長の心配そうな顔は、あえてスルー。
手を叩いて喜ぶ本宮さんに、へらっと愛想笑いしてグラスを差し出した。
こんな雑な飲み方、全然好きじゃない。
昨夜の100分の1も楽しくない。
でも……当然か。今日は相手が相手だしね。
「さ、飲んで飲んで!」
「はい。いただきます」
アルコールが落ちても一向に熱くならない、冷えた胸の内に苛つきながら。
シュワシュワと泡を弾かせる黄金色の液体を、胡乱な目で眺めた。