カボチャの馬車は、途中下車不可!?

原さんと勝田さんもドン引きしながら、申し訳なさそうな視線を送ってくる。
おそらく、いつもこんな感じなんだろうな。
2人にちょっと同情してしまう。

1gの実にもならない話にうんざりしながらも、それを顔に出すわけにもいかなくて。
ただただ、なおざりな笑顔をべったりと糊付けして、お酒を注いだ。
さっさと潰れろって念じながら。

そうしたら。

「まぁいっか、あいつのことはぁ。ところで真杉ちゃんてさぁ、今いくつ?」

イキナリ年齢きたか。直球だな。

楽しい席なら、「いくつに見えますか?」とか聞くんだけど。
今日はそんなもったいぶる気にもなれなくて。
「32です」って淡々と告げた。

「ええっ! 32!? もう三十路なのかぁ! 見えないねえ。もっと若いかと思ってたよ」
「ほんとですか? うれしいです」
「指輪してないからまだ独身だよね? 相手はいないの?」
そういうと私の左手をつかんでペタペタ触りながら、舐めるような近距離で眺める。

手ェ放さんか!

湧き上がる嫌悪感を押し殺し、「そうなんですよー、なかなかご縁がなくてー」
って、イヤミなくらい猫なで声で言ってやる。

耐えろ私! 仕事だ! これは仕事っ!
お経のように頭の中で唱え続ける。

「原さんはダメだよ、こんな年まで一人でいちゃ。あっという間にオバサンだからね」

お、オバ……
ブチっ。
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