カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「……え?」
しばらく時間をおいて、呼吸を取り戻して。
戻った個室は……空っぽだった。
部屋を間違えたのかと、廊下できょろきょろしていると。
「あぁ来た来た。真杉ちゃん遅かったから、みんなには先に帰ってもらったよ」
そう言いながら、本宮さんが近づいてくる。
「え、か、帰った?」
カバンを受け取りながら、混乱したままつぶやいた。
そんなに待たせるほど、ゆっくりしてたっけ。
「原さんがねえ、ちょっと酔っぱらっちゃって。勝田一人に頼むとほら、間違いがあるといけないだろう? 送りナントカ、ってさぁ? だからタクシー呼んで、日下課長と丸岡さんについてってもらったんだ」
「そう、ですか」
「俺たちは、別のタクシー呼んであるから。一緒に帰ろうね」
両手で肩を揉まれて、ゾワリと肌が鳥肌だつ。
「あ、あのっ……ここから駅近いですし、私は歩いて行きますから、本宮課長はどうぞタクシーで……」
「俺を一人で帰らせるのぉ? いいのかなぁ、クライアントだよ、俺は」
細い目をさらに細くして、ニヤリと薄い唇を歪めた。
「……っ」
背筋に、冷たい汗が滑り落ちた。