カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「……Merci,salut!」
通話を切ったライアンは、にこりと顔を綻ばせた。
「やってくれるってさ」
「ほんとにっ!?」
嘘……決まっちゃったの?
「で、でも確認しないと。もし、同業他社の仕事を最近やったことがあるならそれは——」
まずい、と言いかけた私を、ライアンの手が制した。
「ちゃんと聞いたよ。そういう話はいくつも来るけど、興味なくて一度もやったことないって言ってたから、安心して」
「あ……ありがと」
「1時間以内に、このアドレス宛に顔写真とプロフィールの日本語版、送ってくれるから」
「ええっ」
「企画書に載せるんだろ?」
「あ、……それは、……うん」
あんなに苦戦してたのに。
こんなにあっさり決まっちゃっていいの?
……嬉しいんだけど、なんだか現実感が湧かなくて。
信じられない思いでぼうっとする私の頬を、ライアンが突っついた。
「ほら、時間ないんだろ? あとは何するの?」
「え? あ……ええっと、企画書作って、あと……デザインラフ……」
「了解。ラフは僕が作ろう」
……は?