カボチャの馬車は、途中下車不可!?

「楽しくなかった? 昨夜」

「そそ、そんなことないっ……」

「じゃ、どうしたの?」
頭にキスを落としながら優しく聞かれても、本当のことなんて言えるはずなくて。

「え……と」

ほんの少しためらった後、着ていたTシャツの襟元をぐいっと広げて見せた。

「あの、だからっ……これよこれっ」

「ワオ」と、その顔に引きつった笑いが浮かぶ。

「…………あ、あぁ……あはは、えーと……キスマーク?」

「そんなカワイイもんじゃないでしょっ」

ジト目を向けると、彼が「ごめん」って項垂れた。

「昨夜は……すごくうれしかったからさ、初めて飛鳥のこと抱けて。舞い上がっちゃって……。だからその……リミッター外れてたっていう自覚は、ある。ほんと、ごめん」

しおらしく首筋に鼻をこすりつけられて。
とくとくと胸が甘く高鳴る。

どどどうしよう……そんな風に言われたら。
なんか、顔がニヤけてしまうじゃない。

「痛い?」
心配そうに見下ろす彼に、慌てて首を振った。

「へ、平気。ちょっとびっくりしちゃっただけだから」

「そっか、よかった。……でも、違うよね?」

「……へ?」

顔を上げると、「ごまかされないよ」って、探るような瞳とぶつかった。

「さっき考えてたのは、“コレ”のことじゃないだろう?」
彼の指が、私のデコルテを彷徨う。
< 354 / 554 >

この作品をシェア

pagetop