カボチャの馬車は、途中下車不可!?

……ビンゴか。
がくっと、肩が落ちた。

土曜夜の新宿。
凄まじい数の人が移動する東京屈指の繁華街の真っただ中なのに、エアポケットのようにぽっかりと、空間ができていて。

中心に、彼がいた。

ガードレールにもたれて、柔らかく跳ねる黄金色の髪を物憂げにかき上げる。
そんな何気ない仕草でさえ、周囲の足を止めさせ、ざわつかせるほどの色気に変えてしまう人——


「飛鳥飛鳥っ! さすが東京やなっ! あんないい男、普通に街中おるとかっ!! あたしのクライアント、紳士服のメーカーあるんやけど、モデルとかやらへんかなぁ! 声かけてみよかなっ!」

黄色い悲鳴をあげながら手招きする恵美に、なんとか引きつった笑いを返すのが精いっぱいだ。

今日はタクシーで帰るからって、あんなに言ったのに……


このギャラリーの中、どうやったら彼を穏便に連れ出せるかと猛スピードで頭を回転させる。

ええと、とりあえず電話して、別の場所で待ち合わせるってことにしようかな……とバックに手を突っ込んで——


「飛鳥」


げ。

見つかった。
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