カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「あの……申し訳ありません。もう一度、よろしいですか?」
「え? はい、ライアン・ベッカーですけど」
「……すみません。お名前が違うようで……お開けすることはできません」
小さく頭を下げられて、私は息を飲んだ。
名前が、違う?
「会社の名前になってる、とか、そういうことですか?」
「いえ、個人様ですけど……すみません、これ以上は」
すみませんと申し訳なさそうに繰り返して、彼女は逃げるようにカートを押していく。
なんなの。
どういう、こと?
名前が、違う?
友達の名前でも使ってたの?
それとも……
まさか、偽名、ってことは……
胸の奥底に、どうしようもなく冷たく黒々とした何かが生まれ、どろりと触手を広げていく。
頭が、痛い。
ぐちゃぐちゃで。何も考えられない……
——どの程度、信頼できるのかね。その『彼』は。
——彼は、危険な男よ。
——お名前が、違うようで。