カボチャの馬車は、途中下車不可!?
窓の向こうからかすかな音が聞こえて、私は視線を上げた。
ガサッ……
まただ。
「どの部屋かは、わからないんだな?」
ボソボソと、潜めた男の声。
「河部さんに連絡して、それから車こっちにまわせ。今度こそ逃げられないように——」
「はい」
そう答えた声の主だろう足音が、パタパタと遠ざかっていく。
何してるんだろう、こんなところで。
物騒な言い方が気になって、窓から外を見下ろした。
坂田家は2階。エントランスのすぐ上だ。
玄関脇の植え込み前。男が2人立っていた。
ファミリータイプのマンションには不似合いの、崩れた感じ……
不機嫌そうに小刻みに上半身を揺らしながら、携帯をチェックしてる。
なんか……雰囲気似てるかも、彼に。
理由もなく脳裏に浮かび上がったのは、私を轢きそうになった、あの茶髪の青年だった。
服の感じや年頃が同じに見えたからかもしれない。