カボチャの馬車は、途中下車不可!?
終わった……のかな?
ようやく私は、ゆっくりと肩の力を抜いた。
なんだかものすごい疲労感——
よろめいた体を、力強い腕に支えられた。
「飛鳥っ、大丈夫?」
ふわりと、馴染んだ彼の香りに包み込まれ。
さっきとは別の意味で、くらりと眩暈がしてしまう。
「だ、大丈夫っ……」
急いで離れようとした私は——そのままきつく、抱きすくめられた。
な、なんで今、こんなことするのっ?
動揺を気取られたくなくて身をよじると、それすらも許さないというように彼の腕に力がこもっていく。
「ラ、ライア——」
「ごめん……怖かっただろ?」
こわ、かった……?
密着した体から、彼の熱が伝わってくる。
あったかい……
ひたひたと全身に広がっていくもの、それはたぶん、生きてるっていう実感。
助かったんだ……生きてるんだ……
泣くつもりなんてなかったのに。
彼の腕の中は、心地良すぎるから——嘘がつけない。
「っふ……っ……ぇ」
嗚咽を漏らして震えだした私の頭を、背中を、大きな手が包み込み。
繰り返し優しく、撫でてくれる。
何も言葉はなかったけれど。
とくとく……交じり合っていく鼓動が、とても愛しくて。
ボロボロに泣きじゃくりながら、私は温かな安堵に浸っていた。