カボチャの馬車は、途中下車不可!?
私の涙が半ば収まった頃。
頭の上で、はぁあっと大きなため息。
もぞもぞと体を動かして顔をあげれば、ライアンがうんざりといった様子で一点を見ていた。
なんだろ——?
「どこ行くのかな、青山さん」
「きゃっ!」
悲鳴の上がった方を振り返ると、四つん這いになって部屋から出ようとしてる青山さんがいた。
「逃げるのはナシ、じゃなかったっけ?」
その声にとどめを刺されたように、ドアの手前でヘナヘナと座り込んでしまった彼女だけど……次の瞬間、「あたしは悪くないっ!」と、叫び始めた。
「あたしは、…………あたしは被害者なの! だまされて、脅されて……だから仕方なくっ……真杉さん、信じてください! ……あたし怖くて……っく、ひぃいっく……こんなこと、したくなかったけどっ!!」
しゃくりあげながら、次々、言葉を並べていく。
「っっく……ホテル側が、調べてるから……あたしが行くとまずいって、ぃっく、代わりのマユミ、探せって弘に……ひぃっく、……いや、だったけど……ぃいっく、う、ぅう、真杉さん、いつも優しいし……きっと……引き受け、てくれるって……まさかあいつら、……真杉さんにこんなこと……ごめんなさいっ……ほんとにごめんなさいぃい! 」