カボチャの馬車は、途中下車不可!?
物悲しい虫の音と涼風は、孤独を一層際立たせる。
秋がそんな季節だってこと、すっかり忘れてた。
あ、って思った時にはもう遅くて。
「っ……」
涙が、こぼれていた。
後から後から。
止める間もなく、頬を転がっていく。
そういえば……
私、泣いてない。
彼のことで、ちゃんと、泣いてないんだ。
その事実に驚きながらも、ならばと、肩から力が抜けた。
……いいよね?
誰も見てない、今なら。
ほんの、少しだけ。
年齢なんて、関係ない。
こんな時は、泣いたっていいでしょう?
「ぅっ……ふ、……っ」
流れるままにまかせて、しゃくりあげた。
「うぬぼれてもいいのかな。その涙は、僕のせいだって」