カボチャの馬車は、途中下車不可!?

「かっ、カレントウェブって、リーズグループと関わりあるの?」

上ずった声で無理やり話題を変えた私を、怪訝そうにチラリと見たけれど。
それでもライアンは、「いや、ないよ」ってつきあってくれた。

「貴志(たかし)にもう、聞いてるんだよね。僕がリーの家の人間だって」

話しながらベンチに座り、私にも座るよう目で促す。

貴志って……伊藤くんのことかな?
考えながら、隣へ腰を下ろした。


膝の上で両手を組み、ライアンは静かに話し始めた。

「僕自身は、今までもグループの経営には関わってなかったし、今後も関わるつもりなかったんだけどね。昔から両親にもそう言ってあったし……でもそれは、面倒なことに関わりたくないって消極的な理由だったから、本家の方に正式に話してあったわけじゃなくて。そのせいで、厄介ごとを押し付けられることもあって」

「今回みたいな『仕事』のこと? えっと……SD、の?」
私が聞くと、苦笑交じりの頷きが返ってきた。

「正直なところ、リーの名前はビジネスの場でかなり有効なんだ。特に外資系相手だと。だから……ギブアンドテイクっていう感じで協力してた。打算、って言ってもいいかもしれない」

彼はそこで口を噤むと、おもむろに私へ視線を合わせた。

「でも、それももう、終わりだ」

「終わり……って?」

「絶縁してきたから」

「ぜ、ぜつえん……?」
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