カボチャの馬車は、途中下車不可!?
きっと彼は、自分の道を見つけたんだ。
やりたいって、進みたいって思える道を。
そこに私が、ほんの少しでも関わることができたのだとしたら……
なんだか、くすぐったいほどの嬉しさがこみあげてきて。
口元が自然に緩んでいく。
あぁ、もう十分だ。
その言葉だけで私は——
「……飛鳥」
少し硬めの、声がした。
「ん?」
「君と出会って、君を知って、君に触れて……リーから離れようと決めて。その頃にはもう、わかってたんだ。僕が変わった一番大きな理由は、ここにある気持ちだって」
そう言って、自分の心臓を、トンと指す。
「き、もち……?」
私の問いを、「そうだよ」と、まっすぐな瞳が受け止めた。
「飛鳥に認められたい、飛鳥にふさわしい男になりたいっていう気持ち」
その手がベンチの上、私の手へと重なった。
「ら、ライ……っ」
「飛鳥のそばで、生きていきたい。2人で一緒に笑って、悩んで……これから先も、ずっと」
とくん、とくん、とくん……
そこに、愛の言葉はなく。
これまでみたいな、優しさや甘さもなかった。
なのに……なんで?
どうしようもないほど熱く、愛を告げられているような気がしてしまう。
呼吸が——苦しくなっていく。