カボチャの馬車は、途中下車不可!?
どくんどくんどくん……
心臓の音が、うるさい。
うるさすぎて、怖くなる。
聞き違いじゃ、ないよね?
け、結婚、て言った……?
つまり私、プロポーズされたの?
ヨリを戻そう、とかじゃなくて。
いいいきなり?
「飛鳥……返事は?」
艶っぽいささやきが耳朶をかすめ、ゾクリと甘い痺れが背筋を走っていく。
「けっ、結婚なんて……興味ないのかと思ってた」
「なかったよ。そもそも、したいと思う相手がいないのに、興味なんて持ちようがないだろ」
そりゃ、そうかもしれないけどっ。
大体私たち……付き合ってたって言っても、ほんの数週間で……
「その……いろいろ……なんか、すっ飛ばしてない?」
もう少し時間をかけた方が、と続けようとした私を遮るように。
ライアンはがくっと項垂れ、「そうだよね」と私の首筋へ、吐息を埋めた。
「わかってる。本来なら、指輪と花束を用意して、クルーザーとオーケストラを押さえて、サンセットタイムをチェックして。一生に一度のシチュエーションには十分こだわるべきだったってわかってるけど」
「え、えぇっと……そ、そこ、かな……?」
「ジョークだよ」
カクッと肩が落ちる。こんな時に冗談とか、信じられない。
心臓に悪いんですけど!