カボチャの馬車は、途中下車不可!?

おぼつかない足取りのまま導き入れられたのは、明らかにワンランクもツーランクも上に違いない、ラグジュアリーな一室。

ここが……彼の部屋?

でも。
ちゃんと認識できたのは、ガラス張りのバスルームとキングサイズのベッドと……それくらい。

ハイクラスの家具も、その先にあるらしい別の部屋も、鑑賞する余裕はなかった。


足を踏み入れた途端。
閉じかけたドアへ押し付けられられるようにして、唇がふさがれてしまったから。


「んっ……ぅ……ふ……」


強引にこじ開けられた隙間から、熱い舌が入り込む。

噛みつくように、暴き立てる様に。
口内を無遠慮にかき回すそれは、淫らな音を立てて私の舌に絡みつき——……


快感に震える全身から、力が抜けて。
クラッチバックが床に落ちた。


視界の端、散らばった中身が映ったけれど。
拾うことは、許されなかった。


きれいに結い上げた髪の中に大きな手が差し込まれて、ぐしゃりと崩されていく。
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