新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
 


「は、はじめまして! こちらこそ、その節は大変お世話になりました。ご挨拶が遅くなってしまって、申し訳ありません。お会いできて光栄です」


慌てて私も頭を下げたあと、真っ直ぐに近衛さんへと目を向けた。

改めて見ると黒の品の良いスーツが似合う、端正な顔立ちをした男の人だ。

年は……湊と、同じくらいだろうか。

身長も多分、私よりも頭一つ半ほど高いだろう。

綺麗な目鼻立ちと、艶のある黒髪。

湊と並んでも見劣りしない彼を見たら、再びゴクリと喉が鳴った。

だけど私を見つめる瞳は湊以上に隙がなくて、肌がゾクリと粟立ってしまう。

なんとなく近寄りがたい雰囲気のある人だけれど、湊の秘書を務めているくらいだから、とても優秀なのだろう。


「社長から、奥様のご事情は伺っております。お二人の婚姻関係についても存じておりますので、なにかあればいつでも仰ってください」

「え……」


けれど、続いて告げられた言葉に、つい目を丸くして固まった。

近衛さんは、私と湊が結婚していることを知っている……?

咄嗟に湊へと視線を移せば、彼はどこか面白そうに喉を鳴らして笑ってみせると頬杖をつきながら、改めてこちらを見た。

 
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