新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「あ、あの……」
「俺の前では、そんな、畏まらなくてもいいよ?」
「え……」
「って言っても、まぁ、初日じゃあ仕方ないか。とりあえず、企画課のメンバーを紹介するから着いてきてくれる?」
フッと口角を上げて笑った根岸さんは、顎で向かう方を指してからオフィスの奥へと歩を進めた。
改めて室内を見渡すと、約三十畳ほどの室内には大きく分けて計二つのデスクの島ができていた。
部屋の隅には作業台や打ち合わせスペースがあり、壁沿いに並んだ棚にはビッシリとファイルが並んでいる。
そして三つのパソコンが置かれたデスクの前で足を止めると、根岸さんが再び私に向き直った。
「ここが、企画課のデスク。で、そこが花宮さんのデスクだから、これから好きに使ってよ」
言い終えて、根岸さんが指したデスクを見てみれば、まだ資料も何も置かれていないスペースがそこにはある。
決して広いわけではないけれど、スタイリッシュなパソコンが置かれたオシャレなデスクだ。
座り心地の良さそうな椅子の背もたれはオレンジ色で、なんだかとても可愛らしかった。
ここが……今日から私が働く場所なんだ。
そう思うと踊るように鼓動が跳ねて、自然と頬が緩んでしまう。