新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
 

「過去の資料とか、データの場所はまたあとで説明するよ」

「ありがとうございます!」

「それで、他の奴らは今、朝イチでデザイン課と打ち合わせを──って。あ、ちょうど戻ってきたな。おーい、花宮さん来たぞ!」

「……っ!」


そのとき、唐突に右手を上げた根岸さんが、私の後ろに声を投げた。

つられて振り返れば、扉を開けて男の人が二人と、女の人が一人、荷物を抱えて入ってくる。


「えー! やっと来た……って、可愛いじゃん! ナイス!! ナーイスっ!!」

「……っ!」

「マジ最高! 潤いだわー。職場にオアシス、人生バンザイ!」


と、男の人のうちの一人が突然、室内に大きな声を響かせた。

予想外のハイテンションに面を喰らった私は言葉を失う。

けれど、固まる私を他所にその人は、ニコニコと人懐っこい笑みを浮かべていた。

根岸さんと同じくらいの身長で、甘いマスクをした男の人だ。

そしてその隣で可愛らしい女の子が、彼に軽蔑の視線を送っている。

 
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