新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「俺、可愛い子大好き!」
「はぁ〜……カブさん、マジ、ウルサイです。っていうか、普通に引きますから、ちょっと離れてくれません?」
長い睫毛をはためかせながら、女の子が深々と息を吐く。
「カブ、薩摩(さつま)。お前たちはもう少し落ちついておけ」
「えー、なんで私まで那須(なす)さんに注意されるんスかぁー」
「当然だろ〜。サツマっちも可愛いけど、最近、年上を敬う気持ちに欠けるからなぁ。特に俺とか、俺とか、俺に対して、全面的に」
「マジ、ウっっザ!」
軽口を叩きあいながら、根岸さんと私の前で足を止めた三人は、一斉に私へと目を向けた。
ドクリと肩が跳ねて身体が強張ったけれど、すぐに我に返った私は今日何度目かもわからない挨拶と一緒に頭を下げる。
「きょ、今日から、こちらでお世話になります、花宮桜と申します! どうぞよろしくお願いします……!」
言い終えて静かに顔を上げれば、こちらを見る三人とそれぞれに目が合った。
彼らがこれから、一緒に働く同僚に違いない。
だとしたら、きちんと挨拶をしておかないと。