新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「それで、最後が薩摩(さつま)。一応この班の最年少で、唯一の女性だ。少々口は悪いけど繊細な思考の持ち主で、今のところLunaきっての若手のホープ」
「はぁ〜…やっと女の人が入ってくれて嬉しいですー。もう、私一人じゃ、このうるさい人たち、手に負えなかったんで、マジ感謝」
脱力しながら腕を組んだサツマさんは、ヤレヤレと首を横に振った。
「あ、あの、よろしくお願いします!」
「あー、私に敬語とか疲れるんでやめてください。ハナちゃん先輩、一応年上だし、普通にタメで話してください。ちなみに私のことは、サツマでいいんで、そこは適当に」
「あ……は──う、うん! サツマちゃん、これからよろしくね」
さっそく敬語で答えそうになったところを慌てて直すと、サツマちゃんは可愛らしく微笑んでくれた。
私よりもほんの少し背の低い、ボブヘアーの似合う可愛らしい女の子だ。
けれど、Lunaきっての若手のホープということは、かなりの実力派なのだろう。
「そして、今日からうちのチームの一員になった花宮桜だ。花宮、なにか言っておきたいことがあれば今、ここで言っておけ」
根岸さんに肩を叩かれ、私は改めて四人を見回した。
相変わらず緊張でバクバクと心臓が高鳴っているけれど、それ以上に喜びが胸いっぱいに溢れている。
自分が本当に、彼らと一緒にここで働けるのか……。
心配は尽きないけれど、ここまできて怖気づいている場合じゃない。
「わ、私は……憧れのLunaで働けることを、とても光栄に思っています。皆さんに比べてまだまだ経験不足の若輩者ですが、私にできることはなんでもやるつもりなので、ビシバシご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いします!」
力いっぱい言い切って頭を下げると、身体の奥が強く震えた。
私はデザイン学校を出て、小さなネットショップを開いていたくらいで、いきなり一流ジュエリーブランドの社員としてやっていけるとは思っていない。
とにかくまずは、自分にできることを精一杯やるしかないのだ。
経験不足の私には何もかもが足りなくて、必死に彼らに食らいついていくしかない。