新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「……イイネ」
ぽつりと呟いたのは根岸さんで、緩く細められた目が面白そうに私を見る。
「ネット上でも、あれだけ人気のあるアクセサリーを売る奴だから、ちょっとは天狗になってるのかと思ったけど……良い意味で期待を裏切られて、かなり痺れた」
「え……」
「これからこの五人で、新しいチームになる。うちの企画課の特徴は、個々の柔軟な発想力と団結力だ。お客様の心を掴む企画を考え、お客様を笑顔にすること。花宮には、まずはそこを理解しつつ、頑張ってもらいたい」
言い終えて腕を組んだ根岸さんは、顎でデスクの奥を差してみせた。
視線の先には、これまでLunaで売り出された企画のジュエリーが、ガラスケースに入れて飾られている。
「誰かの人生を輝かせる手伝いができる。俺達の仕事は、そういう仕事だ、誇っていい」
凛とした声に背中を叩かれ、背筋が伸びた。
お客様の心を掴む企画、お客様を笑顔にすることを考える。
……そして、誰かの人生を輝かせる手伝いをしたい。
私はジュエリーデザイナーを夢見ているけれど、志は同じだ。
デザイン画を描くより前の段階からジュエリーに携わり、お客様に近い目線で関わっていくこと。
それは未来の自分にとっても、大きな経験となるだろう。