新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない


「わ……わかりました。そしたら、花宮、社長との話が終わったら企画課に戻ってくるように」


湊の嘘を真実だと思って飲み込んだらしい根岸さんは、一度だけポン、と私の肩に手を置いた。

それが根岸さんからの、「企画、通って良かったな」という労いの意味が込められていたというのは、彼の表情で伝わった。


「すみません、社長とのお話が終わったら、すぐに戻ります」


僅かな罪悪感を覚えながらそう言えば、再び根岸さんは穏やかに微笑んだ。

サツマちゃんも「待ってますね」と声を掛けてくれて、二人の気配が会議室から遠ざかる。


「……職権乱用だ、って言ったらどうする?」


そして、二人の気配が完全に消えたあとで背後から伸びてきた手が会議室の内鍵を廻した。

カチャリ、と機械的な音が響けば、密室の出来上がりだ。

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