新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
 

「あ、あの……近衛さんは……」

「近衛は、私の秘書を務めております。本日は別件でこちらには伺えなかったのですが、お礼を伝えてほしいと申しておりました」


「とりあえず、座って話をしましょうか」と、続けた彼はスマートな所作で私の後ろへ廻り込むと椅子を引き、そっと腰を押してくれた。

その瞬間、ふわりと鼻先をかすめたのは甘く深みのある香りだ。

なんだか彼に抱き締められたような感覚に陥って、妄想だとわかっていても身体の芯が甘く震えた。


「あ……ありがとうございます……」


お礼を伝えれば、そっと微笑み返してくれる。

──如月 湊(きさらぎ みなと)。

それは、代表取締役社長という肩書の下に書かれた彼の名前だ。

そしてこの一週間、私がインターネットでLunaのことを調べるたびに、嫌というほど目にした名前でもある。

 
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