新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「すみません、戻ってから詳しい事情はお話します……! 次の取材までには必ず彼を連れて戻りますから、よろしくお願いします……!」
叫んでから、前を向いた。
今は、それだけを言うのが精一杯だった。
今日一番の大仕事は今、終わったばかりだ。
このあと、夜に取材が一件入っているものの、それは雑誌の取材なので同行はカブくんとナスさんになっている。
湊はそれを全て把握した上で──今、私を連れ出そうとしてくれている。
自分が私の夫で、家族であると言い切って、私をおばあちゃんの元へ連れて行こうとしてくれているのだ。
「桜の次の仕事は、この空き時間の俺の予定が終わり次第、俺を連れて、また仕事に戻ることだ」
「……っ、はい」
改めて口にされ、涙が零れた。
私がもう言い逃れのできない理由まで、湊はくれる。
仕事を投げ出せないと言った私に、自分の空き時間の管理を任せた。
本来なら近衛さんがすることだということもわかっているけれど、今だけは彼の優しさに甘えてもいいだろうか。