新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「では、まわりくどい話は省かせていただきます。花宮さん、弊社……Lunaで働く気はありませんか?」
「え……」
「実は今、Lunaのデザイナーの間で、花宮さんの経営するCOSMOSのアクセサリーが、話題となっています」
「わ、私の作ったアクセサリーが……?」
「はい。どこにもない、オリジナリティ溢れるアクセサリーを売っているネットショップがある。最初は社内会議で、そんな話題が出たことがキッカケでした。それから僕の方でもCOSMOSの商品を拝見させてもらい、実際に手にも取らせていただきました」
如月さんの口から飛び出した、予想だにしなかった言葉に、私は返す言葉を失った。
まさか、如月さんが私の作ったものを手に取ってくれていたなんて……そんなの、信じられるはずがない。
「僕は、気になったものはなんでも自分の目で確かめてみないと気が済まない質なんです。そして実際に見て、触れて、納得しました。ハンドメイドの雰囲気を残しながらも繊細かつ精巧な作りをしている。リピーターがつくのも頷けた。何よりアイデア力があり、これを一度手に取ったお客様は、次はどんなものが出てくるのだろうと期待もするだろうな……と、感動しました」
「か……感動だなんて、そんな……」
「もちろん……失礼な言い方になってしまいますが、御社の商品はジュエリーと呼ぶには物足りなさはあります。けれど不思議と品があり、先進的なのに古き良き日本の伝統を上手く取り入れている商品まであって……。何より、手にしたときに思わず笑みが溢れる、温かみがありました」
それは、【近衛】さん名義で送られてきたメールに書かれていたことと、同じ内容の言葉だった。
そう思うともしかしたら、あのメールの内容も彼……如月さんが指示していたのかもしれない。
けれど、こうして面と向かって言葉にされると、メールを読んだときの比ではない。
思わずジワリと涙腺が緩んで、嬉しさが溢れだす。
まさか、自分が作ったものをこんなにふうに言ってくれる人がいるなんて、思ってもみなかった。