新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない


誰もいなくなったその部屋で、ふと脳裏を過ぎったのは、秋乃さんが書き残した最後の手紙だ。

──幸せにしたい。

たった一人の愛しい彼女を、この世界の誰よりも幸せにしたいと思っている俺は今、仕事にほんの少しの私情を挟んだ。

けれどそれを言ったら彼女は、「職権乱用です」と笑うだろうか。

キャッチコピーの意図に気づいた彼女は、一体どんな顔をするだろう。


「ヤバイな……末期だ」


ぽつりと溢して、自分の溺れ具合に自嘲した。

想像したら愛しくてたまらなくなって、仕事中だというのに今すぐ彼女に会いたくなった。



 ✽ ✽ ✽


「……おかえりなさい。お疲れ様です」


その日は夕方から取引先との接待があり、いつもより帰りが遅くなった。

一足先に帰っていた彼女は遅い帰宅にも関わらず、俺の帰りを待ってくれていたらしい。


「お風呂沸いてるけど、どうしますか?」


未だに敬語が抜けないところも愛しくて、もどかしい。

後頭部で緩くまとめられた髪に誘われるように手を伸ばした俺は、玄関先で彼女の華奢な身体を抱きしめた。

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