新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「今、花宮さんが言ったことが本当なら、僕の目が節穴だったということですね」
「そ、そういう意味では……っ」
「だとしたら、大変失礼いたしました。先ほど僕が言った言葉は全て、忘れていただいても構いません」
そう言って、如月さんは先ほどまでと同様に、柔らかに微笑んでみせた。
けれどその笑顔は今までとは違い、どこか冷たくも悲しそうにも見えて……胸が針で刺されたようにチクリと痛む。
「花宮さんはアクセサリーを、自分の欲求を満たすために作っているんですよね? お客様のために……とは、考えたこともなかったと」
続けられた言葉に、唇を噛みしめた。
胸元に光るネックレスに手を伸ばせば、無機質な冷たさが手の平を刺す。
「あなたにとって、アクセサリーは……ジュエリーは、その程度のものだ、と」
彼が言ったことは、たった今、自分が口にした言葉なのに、改めて向けられるとどうしようもなく苦しくて、たまらない。
だけど、仕方がないことだろう。
私がどんな思いで今ここにいて、先ほどの言葉を口にしたかなんて如月さんは知らないのだ。