新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
甘く高鳴る鼓動は、間違いなく今、彼がくれた言葉のせいだ。
如月さんが、私を幸せにしたい?
毎日毎日飽きるほど、私が幸せだと思える日々を与えたい?
それは一体、どういう意味だろう。
何かの聞き間違いか、夢でも見ているのかとさえ思う。
「君が望むことは、すべて叶える」
それでも今、これが現実で──如月さんの言葉が嘘ではないと思うのは、私を見る彼の目が、とても綺麗だからだ。
優しくて、力強い声。
自分でも気付かぬうちに目からは涙の雫が一筋零れて、胸元に添えていた手の上で弾けた。
「……Lunaに移ったときに、ネットショップのCOSMOSをどうするのかは君が決めていい。ただ、君のデザイナーとしての才能を最大限に活かすのであれば、弊社は君にとって最高のフィールドを用意すると約束する」
キッパリと断言した如月さんを前に、再び返す言葉を失った。
如月さんは、本当に先ほどから何を言っているのだろう。
COSMOSを……私を、過大評価しすぎている。
何より……やっぱりこの人は、"あの"如月 湊だったのだ。
今更ながら、それを身を持って実感した。
卓越した営業力・相手を口説くプレゼン力とは……人の心を動かす力だ。
一切迷いのない口調が、今、私の心を頼りない吊り橋のようにグラグラと揺らしている。
……私が勤めている会社には、こんな人、ひとりもいない。
寧ろ、こんな魅力的な人、今まで出会ったこともなかった。