新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
 


「──花宮さん、もう一度、今度は君の本当の気持ちを聞かせてほしい」


ひと呼吸置き、後押しをするように尋ねられ、今度こそゴクリと喉が鳴った。

私の……本当の気持ち?

そんなの、口にしていいわけがない。

今日、初めて会った赤の他人である彼を前に口にするべきことではない。

私の抱えている事情なんて、彼には関係のない話だ。

聞かせても、良い気分になるものではないだろう。

わかっている。わかっているのに──。


「俺は、もっと君を知りたいんだ」


彼を前にしたら、今日まで押し込めてきた想いが、喉の奥まで溢れだした。

 
< 34 / 273 >

この作品をシェア

pagetop