新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「花宮さん、」
「わ……私は。私の両親は、私がまだ幼い頃に事故で他界しました」
自然と唇から零れた言葉に、如月さんが黙り込む。
「そのときに私を引き取ってくれたのが、父方の祖母でした。そして今、その祖母が身体を壊して入退院を繰り返しています」
脳裏を過るのは、あの日からおばあちゃんとふたりで歩んできた日々だ。
突然、いなくなった両親。
ひとりぼっちで抱えた不安。
そんな私に伸ばされた、温かい手。
小学校、中学校、高校……そして私が抱いた夢を、その温かい手は……おばあちゃんはいつだって、全力で応援してくれた。
『おばあちゃん、私、ジュエリーデザイナーになりたいの』
学生時代……三年制のデザイン専門学校で、プロダクトデザインを学んだ私は、将来はジュエリーデザイナーになることを夢見ていた。
その頃は一つ一つの課題に、常に真摯に取り組んだ。
お陰で、それなりに成績も良く、先生方からも可愛がってもらって、卒業前にはいくつか就職の誘いまで貰っていたのだ。