新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「本当に申し訳ありません。今お話したことが、すべてです。先程は曖昧な言葉で誤魔化そうとして、大変申し訳ありませんでした」
言いながら、深く長く頭を下げた。
瞼を閉じれば再び涙が零れ落ち、ナプキンの上で弾けて消える。
「どうしても、難しいですか?」
「……はい。申し訳ありません。そもそも私自身……Lunaのジュエリーが大好きなので、半端な気持ちで介入はしたくないんです」
「え……」
言いながら瞼の裏で思い浮かべたのは、如月さんが率いるLunaのジュエリーたちだった。
煌びやかなのに品があって、ファッション性も高いデザイン。
見ているだけでウキウキして、思わず笑みが溢れてしまう。
これを身につけて出掛けることができたら、それだけで特別な日になる。
そんなことを思わせる力とジュエリーが、Lunaにはたくさんある。
「ご連絡をいただいてから、毎日のようにネットでLunaのジュエリーを眺めていました。見ているだけじゃ我慢できなくて、最寄り駅のビルの中にある店舗に足を運んで、実物も手に取らせていただきました」
おばあちゃんの入院費の支払いもあったから購入はできなかったけれど、いつか……Lunaのジュエリーを迎えたいとも思った。
「本当に、本当に素敵なものばかりでした。だからこそ、如月さんからのご提案をお受け出来ないことを悔しくも思います。けれどそれ以上に、半端な気持ちで憧れのLunaと関わることは私の意志に反します」
「…………」
「だから本当に、申し訳ありません。私にとっては、身に余る光栄なお話でした。これからもLunaがより多くの方を幸せにできるように……心から、応援しています」