新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
もう、完全に砕けた口調になった如月さんは、優雅な仕草で手元のグラスに口をつけた。
かたや私は意味がわからず、ぽかんとしながら彼の話を聞くことしかできない。
「あ、Lunaは福利厚生、有給制度、ボーナス制度諸々、親会社のWith Weddingと同じだし、多分、基本給自体も、今、君が勤めている企業よりも多くなる」
「……え」
「とはいえ、お祖母様の転院に掛かる費用や君の引越し費用もすべて俺が工面するから安心して。その他に必要なものがあれば、遠慮なく言ってくれたらいい」
そう、まるで当たり前のことのように彼は言うけれど、もう、本当に意味がわからず混乱した。
私は今、起きながらにして夢でも見ているの?
馬鹿だと思いつつも頬をつねってみたら、痛かった。
だけどこれが現実だとしたら、本当に何が起きているのだろう。
もう何がなんだかわからないし、彼の言葉を拾うのに必死だ。
「お祖母様にとってベストな環境を整えることで、少しでも体調も回復してくれたらいいな……。あ、その前に、俺のプライベートの携帯番号を伝えないとダメか。えぇと、番号は──」
「──あ、あのっ! ちょっと待ってください……!」
それでも、いよいよ思考の限界に達した私は思い切って口を開いた。
「うん?」
「そ、その……先程から何を言われているのか……。あまりに現実離れしたお話で、すっかり頭の中が混乱しているんですが、あの……」