新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「おばあちゃん、明日は土曜日で仕事も休みだし朝から──」
「そういえば、この間、桜ちゃんが作って見せてくれた指輪、とっても可愛いですねって看護師さんが褒めてたのよ」
「え……?」
けれど、そんな私の想いを見透かしたように、おばあちゃんが何気なく話題を変えた。
不意を突かれたせいで声を詰まらせれば、おばあちゃんが穏やかに目を細めて私の手を握る。
「それで、詳しくはわからないんだけどインターネットっていうところで買えるみたいなのってお話したら、今度是非、教えてほしいって言われたわ」
「おばあちゃん……」
「おばあちゃん、桜ちゃんが作るアクセサリーの大ファンだから。……何度も言うようだけれど、桜ちゃんは桜ちゃんのやりたいように、自由に生きていいのよ? おばあちゃんのために、自分がやりたいことを我慢する必要なんてない」
温かい手が冷たい手の甲を、優しく撫でる。
それだけで鼻の奥がツンと痛んでしまうのは、このあとに何を言われるかも全部わかっているからだ。
「今からでも遅くないわ。桜ちゃんは、桜ちゃんが本当にやりたいことをやってほしい。それが私の、最後の願いだから」
"最後の願い"。この言葉を聞くのはもう何度目だろう。
いつだって優しい、おばあちゃん。おばあちゃんはいつも、私のことを一番に考えてくれるのだ。
そんなおばあちゃんがいたから私は今、前を向けている。
……おばあちゃんがいたから、私は今、私でいられる。
だからこそ私も、おばあちゃんが私を思ってくれているのと同じように、おばあちゃんを何よりも大事にしたいと思うのに──。
どうしても、この話題になるといつも上手に返事ができなくなってしまう。