新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「……っ」
私は繋がっていないほうの手で、首にかけている桜の花のモチーフがついたネックレスに触れた。
『花宮(はなみや)、本当にいいのか? ジュエリーデザイナーになるのが、小さい頃からの夢だったんだろう?』
脳裏を過るのは約五年前、進路を決める際に専門学校の先生から言われた言葉だ。
もうずっと前のことなのに、あのときの先生の寂しそうな表情(かお)も粛然とした学校の空気も何ひとつ、忘れることができない。
『おばあさまのことは残念だが、だからといってせっかく内定が決まった会社を辞退するなんて……』
それはきっと、私の弱さのせいなのだろう。
もう五年も前に諦めたことなのに、いつまでもグズグズと夢の端を手放せずにいるせいだ。
「今だって、本当は──」
「……何言ってるの、おばあちゃん」
だから私は頭の中で聞こえた声を掻き消して、伏せていた睫毛を上げた。
おばあちゃんの言葉を遮り口元に笑みを浮かべると、まっすぐに前を向く。