新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
 


「話をする前に、何かルームサービスでも頼もうか? それともワインかシャンパンでも……桜の好きなものを、好きなだけ頼んだらいい」


穏やかに言う如月さんの言葉に、私は驚きのあまり返事をすることができなかった。

──扉を開けると一番に目に飛び込んできたのは、驚くほど広いリビングルームだ。

広さは約三十畳くらいだろうか。

品の良い楕円形のテーブルを囲うように一人掛けのソファーが三つ、大人が足を伸ばして寝られるほどの広さの四人掛けのソファーが二つ、並んでいる。

続き部屋になっているダイニングルームには大理石のテーブルがあり、椅子が十人分も用意されていた。

まるでここで、重役会議でもできそうだ。

シックかつエレガントに纏められた空間は、体験したことのないほど優美で高級感に溢れているのに、不思議と変な嫌味がなかった。


「わ……ぁ、素敵……」


そして、何より私の心を魅了したのは宝石を散りばめたような美しい夜景だった。

年甲斐もなく大きな窓のそばまで駆け寄って、冷たい硝子に手を添えれば、私の視界を煌びやかな世界が埋めた。

都会の喧騒を忘れてしまう、美しさだ。

──まるで、ジュエリーボックスみたい。

色とりどりの光が輝いて、見ているだけで幸せな気持ちになる。

 
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