新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「き、如月さん、私……っ」
「……それ、もうやめよう」
「え……?」
「名前。この間も言っただろ? 桜には、下の名前で呼んでほしいって」
「……っ」
「明日からは桜も"如月さん"になるんだし、自分の夫を苗字にさん付けで呼ぶのも変だろう?」
言われて改めて、そのとおりかもしれないと思った。
だけど、なんとなく、くすぐったくて……今日まで名前を呼べずにいたのだ。
「次に"如月さん"なんて言ったら、お仕置きだな」
「ひゃ……っ」
「少なくともベッドの中で、"如月さん"なんて呼ばれたら……俺は桜に、どんなイジワルをするか、わからないけど?」
──ベッドの中で。
その言葉にわかりやすく心臓は飛び跳ねて、身体の芯が甘く痺れた。
彼のことを名前で呼ぶ。
たったそれだけのことなのに、やけに緊張して、落ち着かない。