新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
 


「ま、待って……!」


突然のことに驚き目を見開いた湊は、固まってしまった。

私は慌てて彼の口元から手を離すと、視線を左右に動かしたあとで意を決して、口を開く。


「焦らしてるのか?」

「ち、違います……! あ、あの……私……。すごく、疑問に思うことがあって」

「疑問?」

「は、はい……。だから、こうなる前に、それをどうしても如月さ……み、湊に、聞きたくて……」


湊は私の言葉に、怪訝そうに眉根を寄せた。

このタイミングで、こんなことを尋ねるのは空気の読めないことだとも承知している。

だけど今、どうしてもこのタイミングで、尋ねずにはいられなかった。

彼の答えを聞かずにこの先に進んでしまったら、後悔するような気がしたのだ。


「み、湊は……どうして私と結婚しようと思ったんですか?」

「え?」

「い、今も、プロポーズまでしてくれて……。私には不釣り合いな、こんなに素敵な指輪まで……。愛してるって言葉も、湊がいつ、どのタイミングで私に惹かれてくれたのか、私にはまるで、わからないことばかりで……」


『愛してる』

そう言った湊の真摯で直向きな瞳は、心から私を愛してくれているのだと訴え掛けていた。

婚姻届を提出する前にプロポーズまでしてくれたのも……湊が私を想ってくれているからこそだろう。

こんなに素敵な部屋まで用意してくれて、私には不釣り合いな指輪まで渡してくれた。

だけど、彼の愛を感じれば感じるほど疑問は募る一方だ。

──湊はいったいいつ、どのタイミングで、私に好意を抱いたの?

先ほど、『もうずっと前から、私のことが欲しかった』と言っていたけれど……。

『ずっと前』とは、いったい、いつのことを言っているの?

 
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