龍使いの歌姫 ~神龍の章~
「っ!」

レインはある部屋へと放り込まれた。

勢い良く放り込まれたせいで、壁に背中を打ってしまい、痛みに顔を歪ませる。

「……痛い……………ここは?」

やたら小綺麗な部屋で、物置部屋などては無さそうだ。

てっきり牢屋にでも入れられると思っていたので、少し困惑した。

(アルも、どこかの部屋に連れてかれたのかな?)

怪我などしてないと良いが。

(……ここが、神龍様のいらっしゃる城。でも、神龍様はどこに?)

城のどこに神龍がいるのかは、聞いたことがないが、神龍はとても大きな龍だと聞いた。

だとしたら、城の庭だろうか?

(この部屋に入る前、中庭には、竜がいた)

恐らく、まだ役目がある竜だろう。紅花村の竜よりは、目に僅かだが生気を感じた。

(この城の竜の役目って、一体何なんだろう?)

レインが考え込むように唇に指を当て、眉間に皺を寄せると、突然扉が勢い良く開いた。

「!」

「あ!やっぱりここにいたのね!!」

白い髪に、赤い瞳の女性が、ニコニコと笑いながらこちらへやってきた。

レインは女性の顔に、目を見開く。

「やっと会えたわ!可哀想な忌み子の女の子!」

「………貴女……は」

「セレーナ!この国のお姫様よ!」

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