不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 ヒイラギは、庭木の中では病虫害に強い植物だが、ある種のハムシだけには弱い。駆除は困難とされる以上、取りつくのを防ぐしかない。

 まさかこれが原因となってハムシが来るとは思えなくても、まゆこはハンカチで葉の表面を拭う。

 ところが、その葉はほろりと枝から取れてしまった。

「うわ、取れちゃったわ。ごめんね」

 まゆこはそれを土の上に落とすことはせず、ハンカチに包んでポケットに入れた。

 ウィズに顕微鏡はないだろうが、研究員としての性というか、癖というか、ほとんど無意識に近い動きだ。

 そうしてから、ようやく立つ。

 すぅっと背を伸ばして、高い空を見上げた。

 抜けるような青空は濃い色合いをしていて、ジリアンの瞳を思い起こさせる。冷淡さを載せて人を睨み据える眼は、笑うと優しく眇められるのだ。
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