不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 子供っぽいのは認める。けれど嫌いではないし、皆のお勧めだから、嘲笑されると勧めてくれた者まで馬鹿にされたようで気分が悪い。

 まゆこの顔に、珍しく怒りを含んだ表情が載った。

 一歩前へ出たエルマは、強い口調で抗議する。

「カーライル様。他家の敷地内で魔法を行使するなど、無礼でございましょう。このような愚挙をなされては、兄君のダレル様がお怒りになるのではありませんんか」

「おだまり。侍女風情が横から口を出すなんて。――お仕置きが必要ね」

 カーライルは、こめかみにぴくぴくと血脈を膨らませた怒り一辺倒の顔をした。

 左手を前へ出して、ゆっくり上げてくる。

 エルマが体中を緊張させて、右手を自分の左手の肘近くに伸ばした。

 斜め後ろからそれを見ていたまゆこは、長袖で隠されているエルマの腕に、なにがあるかを知っている。

 エルマと一緒に城を探検しているとき、効力を失くした魔法具の残骸を見つけた。そのときに見せてもらったのだ。
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