不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
『動き出すと素早いのよね』
友人連中の言葉通りに動く。
左手は軽く握っている。薬指に嵌められた指輪はカーライルに向いていた。
カーライルの指先から小さな魔法陣が飛び出し、それは極小の光る玉となってこちらへ飛ぶ。まるで銃を撃ったようにして――。
――ジリアンっ。
意識せずして、心の中で助けを呼んだ。
まゆこの指輪が光る。即座にバチンっと音がしてまゆことカーライルの中間の空気が爆ぜた。まゆこは空気の衝撃を受けて後ろへよろめく。
「マユコ様っ」
エルマに抱き留められる。カーライルも数歩後ろへ下がった。爆ぜた空気が四方へ散っていった。
息遣いが速くなったカーライルが、叫ぶように言う。
「魔法具じゃないの。誰から――いえ、そんなことより、道具に頼らなければいけないなんて、マユコにはさほどの力もないのね。なんてこと。バーンベルグの当主ジリアンが初めて招いた姫なのに、でくの坊だなんて!」
〈でくの坊〉は役立たずとも言い替えられる。
友人連中の言葉通りに動く。
左手は軽く握っている。薬指に嵌められた指輪はカーライルに向いていた。
カーライルの指先から小さな魔法陣が飛び出し、それは極小の光る玉となってこちらへ飛ぶ。まるで銃を撃ったようにして――。
――ジリアンっ。
意識せずして、心の中で助けを呼んだ。
まゆこの指輪が光る。即座にバチンっと音がしてまゆことカーライルの中間の空気が爆ぜた。まゆこは空気の衝撃を受けて後ろへよろめく。
「マユコ様っ」
エルマに抱き留められる。カーライルも数歩後ろへ下がった。爆ぜた空気が四方へ散っていった。
息遣いが速くなったカーライルが、叫ぶように言う。
「魔法具じゃないの。誰から――いえ、そんなことより、道具に頼らなければいけないなんて、マユコにはさほどの力もないのね。なんてこと。バーンベルグの当主ジリアンが初めて招いた姫なのに、でくの坊だなんて!」
〈でくの坊〉は役立たずとも言い替えられる。