不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 カーライルは目を伏せて儚いような声で言う。

「もうしません。だから怒らないで、ジリアン。マユコとは仲良くする。お友達にもなるわ」

 攻撃してくる人とはお友達になれません……とは言えなかった。

 美女であれば、か弱そうなフリでも十分映える。

 それでも本質は一つだ。わがまま放題のお姫様気質で、邪魔者や逆らう者を存在ごと消し去りたいという欲求を持つ。実行までしてしまう。

 エルマを傷つけようとしたカーライルには、どうしても辛口の印象しか生まれない。

 ジリアンはくるりと踵を返してマユコに向く。

「呼んだろう? 聞こえたぞ」

「指輪?」

「そうだ。私に繋がっている」

 まゆこはますます顔を上気させた。

 ジリアンは、後ろ背にカーライルへ向かって言う。

「案内された部屋で晩餐までおとなしくしていろ、カーラ。次に抜け出したら、晩餐はなしで帰ってもらう」

「分かったから。あなたの言う通りにするから。意地悪しないで」

 カーライルは、弱々しく小さな声音で言う。

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