不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 お騒がせの二人は同じ馬車に乗り合わせて、バーンベルグ城をあとにした。

 まゆこは身体から力を抜いて夜空へ視線を向ける。

 真夜中だから真っ暗なのは当然としても、見たこともないほど星の数が多い。澄んだ秋の夜空に、丸い月がくっきりと外郭を見せて佇んでいた。

 ――星があるってことは、この世界の大地も球形をしていて、星系があると思っていいのかしら……。なんて綺麗な星空。

 曇りがない。だからこそ、自然は魔法の元である〈気〉、つまりは魔法エネルギーの供給源ともなるのだろう。
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