不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 エルマに支えられて立つ。エルマがちらりと遠い回廊へ目線を流したので、まゆこもそちらを見たが、テオはもういなかった。

「マユコ様。お部屋の方に戻られますか?」

「このまま行きましょう。温室が見たいからここまで来たんだもの」

「はい」

 そしてまた歩き出す。

 心の中になにが生まれようとも、いまはまだ蓋をしておくことができる。期限があるからだ。

 ――あと二か月くらいじゃないの。それまでは、このままでいようって思うのは……思いたいのは……、逃げなんだろうか……。

 誰も答えらえない。答えは自分の中にしかない。自分の中を探さないから、はっきりしないのだ。
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