不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
「ジリアン……、もしかしたら、わたしを婚約者にしたのは、あなたに集まってくる女性避けにするため?」

 どれほどたくさんの女性たちが寄ってきても、呪いがあるからジリアンには煩わしいだけだろう。

 実際いままでは、カーライルが陰で蹴散らしていたと知っていても止めなかった。

 ジリアンは密かに笑って肯定も否定もしない。

 まゆこは少しばかり膨れる。するとジリアンは給仕からケーキの皿を取って彼女に渡してくる。

「婚約者にしたのは、おまえを傍に置いておきたいからだ。そう言っただろう?」

「……そうだけど」

 釈然としないまでも、ケーキは美味しくいただいた。
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