不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 ジリアンは皮肉気に笑う。

「まさか、ここまで条件に合致する者がいるとはな。おまえが来たのが奇跡だった」

「でも、わたしにはあなたの手助けはできないって……。わたしはあなたの〈ただ一人〉ではないのでしょう?」

「条件の中に感情の部分は入れられない。召喚だけでは、〈愛する者〉に届かなかった。愚かだった。逢ったこともない者を、すぐさま愛せるはずがなかったんだ」

 まゆこは、ジリアンの言葉を『彼がまゆこをすぐさま愛せるはずがない』と受け取った。

 彼女はすでに彼を好きになっていたから、逆の意味――『帰ることを願うまゆこが、ジリアンを好きになるはずがない』と彼が思っている場合を考えられなかったのだ。

 だから素直に頷いた。
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