不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
「それは、そうね。条件だけでは、愛する気持ちを保証できない。人の心は、計算づくでは動かないもの」

「マユコ。了解も取らずに引っ張ってきて、本当に悪かった。このまま帰れなかったら家族が嘆くことになる。おまえを家族の元へ帰すのは私の責務だ」

 その通りかもしれないが、帰されても待っているのは交通事故だ。

 ジリアンはまゆこを見つめる。

 ルースへの言付けでは済ませられないと考えた彼自身の言葉が、彼女に向かって紡がれてゆく。

「帰すだけじゃない。直面している死から必ず守る。帰還と安全だ。方法を見つけるから、あと少し待ってくれ。闘技に勝って王になり、王城の奥深くに隠されている奥義を自分のものにするまで。奥義の中には〈召喚〉に関する魔法もある」

「勝つつもりなのね」

「できればな。もしも勝利したら、そのあとは、すぐに北へ行って障壁を修復する。障壁の修復が、王の認証になる。それができた段階で王位継承は完了する。戴冠式などはおまけのようなものだ」

「……無理はしないで」

「全力でやる」
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