不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
「マユコの家族はどういう人なんだ? 聞きたい。話してくれないか」

「……いいの? 時間が無くなってしまう」

「望んでいるのは私だ」

 家族という言葉は、ジリアンにとって特別なのだと思う。

 彼が望むなら……と、まゆこは静かに話し始める。

 しゃきしゃきとよく動く母親のこと、めったに怒らない無口な父親のこと、離れて暮らす大学生の弟のこと。亡くなった祖父のことも話した。

 ジリアンは黙って聞いている。

 いつの間にか時間が過ぎて、闘技の関係機関に属する侍従が呼びに来るまで、まゆこは家族の話をしていた。
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