不本意ですが、異世界で救世主はじめました。
 魔法闘技はいろいろな面で国家的な意義があった。王位継承争いを防ぐ意味合いが最も大きく、誰が最高の魔法力を持つのかをはっきりさせることもできる。

 最終的には、ゲルツ王国の長い繁栄と安泰のために。

 三家の子供たちを一緒に遊ばせるのも、表向きだけでも仲良くできるようにするためでしかない。それだけの関係だ。

「諦めろ。私は〈ただ一人愛する者〉を、すでに見つけている」

「マユコなの?」

 悲鳴のような声には答えず、ジリアンは歩いてゆく。

 振り返らない。遠ざかるにつれてカーライルのことは遠く霞み、頭の中は再びまゆこで埋まった。

「許さないからっ」

 カーライルは泣き声で言い放つと、その場から走り去った。
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